伯爵領の港を出てしばらく、甲板の掃除をしていると船長室からターナーが出てくるのが見えた

鼻歌まで歌って、どうやらずいぶんとご機嫌らしい

「おいお前らでてこい！」

波音に負けない大きな声の船長が号令をかけると船員たちはぞろぞろと顔を出す

甲板の掃除中だったジークは手を止め、すぐそばの倉庫で宝物を整理していたヴィルはルビーを磨きながら出てきたようだ
医務室からは白衣を着崩したカートが寝ぼけ眼でのそのそとした足取りで、厨房からはコニーがおたまを片手に出てきた

レッドの姿が見当たらないが、ターナーに気にする様子はない


「喜べ！新しい仲間が加わったぞ、今日は宴だ！」

途端に騒がしくなる船内
どうも海賊という人種は宴が好きなようだ
ジークも例にもれずその一人だった。