連れて来られた部屋はどうやら船長室のようで、先程少し見かけたあの大柄な男が椅子に腰掛けて機械と睨めっこしていた

「おや、嬢ちゃん着いてきたのか。
レッド、やるじゃねえかお前もようやく結婚か」

なにか勘違いをしているようだが、とりあえず悪い人では無さそうだ

「違います、手違いで返し損ねたのでどうしようかと考えてるんです」

「初めまして、ヴァレンティーナ・レガートと申します。迷惑じゃなければご一緒に連れて行って頂けませんか?」

ワンピースの裾を広げ、微笑んでお辞儀する。貴族社会で染み付いた挨拶だ

「迷惑もなにも、連れていく以外の選択肢なくしたのはお嬢さんだけどな。」

猫を被るのを辞めたのか、それとも船長の前だからなのか、レッドは先程までと比べて砕けた態度を取る