ヴァレンティーナの言葉に震撼したのは役人だけでは無かった

「え、おい、ちょっとお嬢さん?」

抱きつく少女を無理やり剥がして投げることが出来ず、今度はレッドがあたふたと取り乱す番だった

そうこうしているうちにも船はどんどん港から離れ、人が飛び移れる距離ではなくなってしまった


「ごめんなさい、ちょっと出来心で…」

レッドの顔を伺うと、深くため息をつかれる

「いや、こんなじゃじゃ馬だったとは気づけなかった俺が悪い」

じゃじゃ馬、という言葉にムッとするヴァレンティーナだが、これから迷惑をかける相手だ、大人しく謝罪することにした


「おーい、そろそろタラップ閉じるぞ。中に入ってくれ」

若い乗組員が声をかけるとレッドはヴァレンティーナの手を引き、奥の船室に連れていった