ヴァレンティーナの言葉をレッドがどう受けとったのか定かではないが、彼は肩に担いだ少女を一瞥するとまた歩き出した
港に泊まった様々な船の中でも一際目立つ異色の船が彼の船のようだ
大きな船体は物々しい武装が施されているが、船首には人魚のような女の人のシンボルが飾られている
高く掲げられた旗には剣と槍が交差するトレードマークが激しく主張する
甲板には人の姿が伺える
出航の準備をしているようだ
「レッドか!
遅かったじゃねえか!置いていく所だったぞ!」
「今行く」
タラップを伝って船に乗り込むと、レッドはそっとヴァレンティーナを肩から降ろした
「誘拐してきたのか?悪い男になったな、レッドよぉ」
何も聞かされることなく担ぎ込まれ、未だ状況を読み込めないヴァレンティーナ
乗組員の男の言葉に、これは誘拐されているのか?と今更ながら考えるが、直後ににレッドによってその考えは否定された