助けたお礼と称して連れていかれたのはたくさんの船が停泊する港の関所だった

まあ、自分からお礼を申し出たのだから、本来であれば”連れていかれた”という表現は失礼に値するというものだが、今の状況から判断するに、この表現は間違ってはいないと思う

レッドはヴァレンティーナを肩に担いだまま人ごみの中を抜け、一直線に目的の船へと向かう

「あなた何者なの?」

一瞥しただけでは気づかなかったが、担ぎあげられて分かる鍛えられた肉体
見た目の年齢の割に随分と落ち着いた風格がある

騎士見習い辺りかと見当をつけていたが違いそうだと改めて思順する


「海賊だよ」

怖いか?と聞くレッド

怖いという感情は不思議と湧かず、それよりなんだが納得してしまった

「そう…。
怖くないわ、あなたのことはよく知らないけど多分あなたはいい人よ」