「彼女を離せ」

いきなり現れた声の主にヴァレンティーナは驚いた
男たちも悪事が見つかったことにほんの少し動揺したようでヴァレンティーナを捕まえる腕の力が弱まった

その青年は身なりこそパッとしないが手に構える剣は鞘に収まったままだがそれなりに値打ちのするものだと見て取れる
爽やかな金髪に海のような青い瞳は息をのむほど美しい

「お前ら何処の者だ?
俺の連れに何してくれてんだ」

青年はヴァレンティーナの手を引き二人組から奪い返すと、守るように抱き寄せて目配せしてくる

どうやら恋人を演じて助けてくれるようだと察し、それに応える

青年の迫力に押されたのか、破落戸達は悪態をつきながら去っていった

脅威が去ったことに安堵し、本日二度目の解放感に息をつく

「あの、助けていただいてありがとうございます。」

「気にしなくていい。それよりここへは一人で来たのか?」

見たところ貴族のお嬢さんだと伺えるが護衛はいないのか?と青年は追及する