ボーダーライン。Neo【下】


 内田くんと水城さんの結婚式から二週間後、一枚の葉書が実家(こっち)へ届けられた。転送届けを出しておいたおかげだ。

 ダイレクトメールなどの手紙類を入れた箱を開け、中を物色する。目当ての葉書はすんなりと見付かった。

「あったあった! うん、分かるよ。住所。……あれ? これ。携帯番号も載せてる……」

 手にしていたのは、ウェディングドレス姿の水城さんと、タキシード姿の内田くんが笑顔で写っている写真入り葉書だ。

 結婚しました、の報告と共に、新居の住所と電話番号が載っている。

『じゃあさ。悪いんだけど、その住所と、出来たら電話番号。今からメールで送ってくれないかな?』

 本当の本当に、個人情報なので、一瞬躊躇いはするが、美波に限って悪用は無いはずだ。

 恐らく仕事の取材か何かで、急を要して会いたいのだろう。

「あ、うん。分かった……でも電話番号はコレ、多分彼女のじゃないと思うから」

 ーー美波からいきなり電話を掛けたら、警戒される。

 090番で載っている番号は恐らく彼のものだ。水城さんの番号は確か、080番だった。

『どういう意味?』

「あ、えっと。あたし今コレ、結婚と引っ越しの知らせを見てるんだけどね? 住所と一緒に載せてる番号が。……これ多分、旦那さんの分だと思うの」