ボーダーライン。Neo【下】


「雑誌は。ちょっと興味が有ったから買ったんです」

 男性はキョトンとし、あたしの応対を鼻で笑った。

「またまたぁ~、あなた空港でHinokiと抱き合ってたじゃないですか。あの時写真撮ったの僕ですよ? 覚えてませんか??」

「……っ!」

 ーーあの時の!

 あたしは男性記者を見て、目を見張った。

 何も答える気など無いのだから、このまま話をしていても拉致があかない。

 雑誌の記事にどれほどの事が書いてあるのか分からないが、あの否定的な見出しを見る限り、きっと不快な内容に違いない。

「あの。そこどいて貰えませんか? うちに入れないので」

 勇気を振り絞りそう言ったものの、返ってくるのはこちらを見据えるような強い視線だけ。

「……な、んですか?」

 あたしは不安から眉を寄せた。

「葛西慎一」

「えっ??」

「あなたの元婚約者ですよね? なんで結婚やめちゃったんですか? 何でも土壇場でキャンセルしたそうじゃないですか?」

 ーーなんで? なんでここで慎ちゃんの名前が出てくるの??

「葛西から乗り換えたのは昔の恋が忘れられなかったからですか? それともアレですか? 玉の輿」

「……っ」

「元カレが今や売れっ子アーティストとなれば、いっぱしのエンジニアなんて、もう目じゃない。そういう事ですよね??」