「雑誌は。ちょっと興味が有ったから買ったんです」
男性はキョトンとし、あたしの応対を鼻で笑った。
「またまたぁ~、あなた空港でHinokiと抱き合ってたじゃないですか。あの時写真撮ったの僕ですよ? 覚えてませんか??」
「……っ!」
ーーあの時の!
あたしは男性記者を見て、目を見張った。
何も答える気など無いのだから、このまま話をしていても拉致があかない。
雑誌の記事にどれほどの事が書いてあるのか分からないが、あの否定的な見出しを見る限り、きっと不快な内容に違いない。
「あの。そこどいて貰えませんか? うちに入れないので」
勇気を振り絞りそう言ったものの、返ってくるのはこちらを見据えるような強い視線だけ。
「……な、んですか?」
あたしは不安から眉を寄せた。
「葛西慎一」
「えっ??」
「あなたの元婚約者ですよね? なんで結婚やめちゃったんですか? 何でも土壇場でキャンセルしたそうじゃないですか?」
ーーなんで? なんでここで慎ちゃんの名前が出てくるの??
「葛西から乗り換えたのは昔の恋が忘れられなかったからですか? それともアレですか? 玉の輿」
「……っ」
「元カレが今や売れっ子アーティストとなれば、いっぱしのエンジニアなんて、もう目じゃない。そういう事ですよね??」



