男性は嬉しそうに笑みを浮かべ、口にくわえた煙草を、常備していた携帯灰皿でキュッと揉み消した。
「な、何ですか?」
ーー住所を調べたって、何で??
「すみません、申し遅れました。僕はH出版でライターをしている平沼と申します」
言いながらその男性はズボンのポケットから名刺入れらしきものを取り出し、中の一枚を差し出した。
ーー出版社の人?
つまりは記者だ。貰った名刺に目を落とし、胃の底がズグンと痛くなった。
平沼忠雄と名が印字され、その下には携帯番号の十一桁が手書きで記されている。
ーーマズい。早く家に入らないと。
先ほどコンビニで買った商品の袋をギュッと握り締める。
「……それ」
「えっ?」
「その“New Hour”って雑誌。うちの会社が出してるやつなんですよ。ちなみに特集記事は僕が書きました」
「……あ」
「表紙の見出しに心当たりが有るから買ったんでしょう?」
図星だった。
「実は今日は、その事についてちょっとお話を伺いたいんですよ。今お時間頂けませんか?」
言いながら記者の男性はメモ帳とペンを出している。
「な。何の事だか、さっぱり……?」
「は……?」
何でも良いからシラを切り通そうと思った。



