「……あのー」
「えっ……?」
カウンターから、声を掛けられた。
「お会計、三百三十円になります」
「え、ああ……はい」
先にレジへ出していた小冊子の値段だ。見ると二冊まとめてもうレジ袋に入れてある。
「すみません。これもお願いします」
あたしは今取った雑誌もカウンターに置いていた。
雑誌を読むために早足で帰路を辿る。
しかしながら、実家から三十メートルほど離れた場所で、ピタリと足を止めた。
ーーえ。誰……?
門扉付近に見知らぬ男性が立っている。口に煙草をくわえ、時折塀の中を窺う様子から、うちに用がある人だと確信する。
ーーお母さんの知り合い? 訪問販売、とか?
その男性に目線を据えたまま近付いた。見たところまだ二十代半ばの若い男性だ。
ーーあ。もしかして悠大の友達?
「……あの?」
あたしは遠慮がちに声を掛けた。すると、男性はハッとした表情であたしをじろりと凝視する。
「えっと。うちに何かご用ですか? 母なら中にいますし、弟なら」
「桜庭幸子さんですか??」
「えっ??」
言葉を遮る男性の勢いに、あたしは一瞬、怯んだ。
「……あ。あたしに、何か用ですか?」
「ええ。いやぁ、ホントにラッキーだった。あなたの住所、調べるの大変だったんですよ」
ーーえ?



