ボーダーライン。Neo【下】


 ◇ ♀

 Hinokiの熱愛発覚からはや二週間が過ぎた。

 朝夕の芸能ニュースでは、毎度進展もないのに同じような光景が映される。彼を取り囲む報道陣の群れは、絶え間なくフラッシュを浴びせ、何でも良いから言葉を引き出そうと小型録音機を向けている。

 一般女性との熱愛はその後どうですか? といった質問を、飽きる事なく問い掛けている。

 檜は事務所の社長さんの方針を守り、何も喋らずにダンマリを決め込んでいた。

 それがよりいっそう、マスコミの熱を煽っているようで、見ていて辛くなる。

 あの時。スーツケースを受け取ってすぐにでも檜と別れていれば良かった。

 もっと言うなら、飛行機の中で「またね」と言って離れていれば、あんな事にはならなかった。

 過ぎた事を悔やんでも仕方ないのに、スキャンダルだと騒がれる檜を見ていると、そう思わずにはいられない。

 家にジッと引きこもっているせいか、こうしたストレスが発散されずに溜まっていく。何か気分転換が必要だと思った。

 彼に迷惑を掛けたくなくて、丸二週間外出を避けていたけれど、そろそろ近所のコンビニぐらいになら出てみようか?

 本当なら駅前の本屋に行きたいけれど、人の出入りが多すぎるし、コンビニでも仕事情報誌は手に入る。