ボーダーライン。Neo【下】


 カサイは彼自身の勘とネットに流れる知識、リリースした日にちを総合的に考え、幸子との復縁を予想した。

 その上で、茜に電話をし、僕のスケジュールに関してカマをかけた。更には幸子の母親から帰国の日時と空港名を聞き出し、雑誌の記者を差し向けた。

「だけど。まだこれで終わらないと思う」

 僕は前々から気掛かりだった事を、茜に打ち明けていた。

「え。どういう意味?」

「そのカサイって奴が、今回の引き金になったのだとすれば、次に暴露されるのは……」

 言いながら深刻な表情で、茜に目配せする。

 海浜公園で言われた、あの男の台詞を思い出していた。


 ーー「俺が言いたいのは、これをマスコミが知ったらどうなるかって事だ。
 お前らの過去なんてな、知ってる奴は山ほどいるんだ。六年前の十月、西綾高校の体育館……と言えば分かるよな?」


 きっとあの男なら、どこまでも僕を追い詰めるだろう。

 今さら慰謝料を払ったところで、僕に同情の余地は無いのだから、状況は変わらない。そう思った。

 ***