「は??」
悠大がリモコンを手に、プツンとディスプレイを暗くする。そして怪訝な顔であたしを見てくる。
「今の。どういう意味?」
「あ〜、えっと……」
正直に、芸能人と付き合っていると言えばいいのだが、言葉が続かない。
「幸子。ちょっと早いけどお風呂沸かしたから、入って来たら? 疲れたでしょう?」
「あ……、うん。ありがとう」
「えっ、ちょっと母さん! 今のどういう意味か教えてよ?」
「ハイハイ、後でね」
母と弟のやり取りを背に、あたしは逃げるように浴室に向かった。
ーーあれ? 充電切れてる。
お風呂を済ませ、鞄の中に入れっぱなしだったスマホを見ると完全に電源が落ちていた。
ピンク色のコードを挿し、髪を乾かしながら電池が溜まるのを待つ事にした。
「姉ちゃん! 姉ちゃん! 今芸能人と付き合ってるってマジ!? どうやってHinokiと知り合ったの??」
ーーああ、また面倒くさいのが来た。
部屋でドライヤーを当てていると、ノックも無しに弟が入って来る。
仕方なく、檜が元カレだという事を話し、うるさい弟を部屋から追い出した。
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