ボーダーライン。Neo【下】


「(そうです、これです。まだ置いてますか?)」

「(……大変申し訳有りませんが、こちらのものは既に製造が終わっておりまして)」

「(……そう、ですか)」

「(けれど、このシリーズは人気作なので、改良版でしたらございますよ?)」

「(見せて貰えますか?)」

「(かしこまりました)」

 上品な笑みを浮かべ、店員はスタッフルームに入っていく。

「ねぇ。あの向日葵のネックレス、探してくれてるんでしょう?」

「うん」

「でも、さっきあの人ストップって言ってたし。もう作って無いんでしょ? だったらもう」

「いや。改良版みたいな感じで、シリーズ化されてるらしい」

「え?」

 僕は幸子に向き直り、大丈夫だから、と微笑んだ。

「あのネックレスも、それから誕生日に渡した加工したやつも、全部無くなったんだろ?」

「……ん」

「俺が贈りたいんだから、幸子は何の心配もしなくていい」

 幸子は遠慮がちに目を伏せ、小さく頷いた。

 やがて奥から店員が戻って来た。手には小型のケースが乗っている。

「(こちらのタイプの物です。お揃いで指輪のお作りもございますので、もし宜しければ)」

「……いいね。どうせなら指輪も見せて貰おう?」

 ーー丁度婚約指輪が欲しかったし。

 笑顔で幸子を促すと、彼女は頬を染めてはにかんだ。