「幸子っ」
「―んっ…アッ!」
檜の動きが激しさを増し、蓄積された快感が徐々にあたしへ襲い掛かる。
「―ーっ、だめ…っ! も…、あたしっ、きちゃうっ」
「なにが?」
肌と肌がぶつかる音を遠くに感じた。
「ーーイッ…ちゃぅっ」
頭の中が真っ白で埋め尽くされていた。
「…いいよ? ーーイッて?」
「―ッ、あァァ…ッ!」
全身がビクビクと震える。あたしは背中を弓なりに反らせて、両手でシーツをギュッと掴んだ。
やがて幾度か味わった快感が脳天へ突き上げる。快楽の渦に飲み込まれ、意識は遥か彼方へと消えていった。
「……幸子? 大丈夫か?」
全身にじんわりと汗が浮かんでいた。
横から檜に覗き込まれ、腕枕をされていると理解した。
「ーーあ、……ごめ。あたし?」
「うん。ちょっとだけ気絶してた」
ーーうわぁ、またやっちゃった。
快感に意識を無くすなんて、とんだ失態だ。恥ずかし過ぎる。
「幸子。そんなに気持ち良かったんだ?」
「え、」
「一回で気絶するなんて、初めてじゃん?」
檜は嬉しそうに顔を綻ばせ、アハハと笑う。
「……ん」
あたしは檜の胸板に鼻先をくっ付け、赤面していた。



