ボーダーライン。Neo【下】


「幸子っ」

「―んっ…アッ!」

 檜の動きが激しさを増し、蓄積された快感が徐々にあたしへ襲い掛かる。

「―ーっ、だめ…っ! も…、あたしっ、きちゃうっ」

「なにが?」

 肌と肌がぶつかる音を遠くに感じた。

「ーーイッ…ちゃぅっ」

 頭の中が真っ白で埋め尽くされていた。

「…いいよ? ーーイッて?」

「―ッ、あァァ…ッ!」

 全身がビクビクと震える。あたしは背中を弓なりに反らせて、両手でシーツをギュッと掴んだ。

 やがて幾度か味わった快感が脳天へ突き上げる。快楽の渦に飲み込まれ、意識は遥か彼方へと消えていった。




「……幸子? 大丈夫か?」

 全身にじんわりと汗が浮かんでいた。

 横から檜に覗き込まれ、腕枕をされていると理解した。

「ーーあ、……ごめ。あたし?」

「うん。ちょっとだけ気絶してた」

 ーーうわぁ、またやっちゃった。

 快感に意識を無くすなんて、とんだ失態だ。恥ずかし過ぎる。

「幸子。そんなに気持ち良かったんだ?」

「え、」

「一回で気絶するなんて、初めてじゃん?」

 檜は嬉しそうに顔を綻ばせ、アハハと笑う。

「……ん」

 あたしは檜の胸板に鼻先をくっ付け、赤面していた。