ボーダーライン。Neo【下】


 ーーあっ。

 その一体感に睫毛を震わせ、目を細める。

 ーー気持ちいい。

 あたしは檜の首筋へ腕を回した。

 あたしの上で彼が動くたび、ベッドのスプリングがしなり、ギシギシと音を立てる。

 指でされた時の数倍の快感が、体の中心部から背筋を伝って脳へと到達する。

 ーーなんて幸せなんだろう。

 檜と繋がっている時の、この一体感がたまらなく好き。

 身も心も火照らされ、甘く甘く溶けていくみたい。

 思えばこの感覚を、あたしは長い間ずっと放棄していた。愛する人に抱かれる快感を、諦めていた。

 このままずっと繋がっていたい。檜と一つになる快感が、いつまでも終わらなければ良いのに。そんな事を馬鹿みたいに願ってしまう。

「…ハッ―…アッ、檜ぃ…っ」

 涙で霞んだ視界に、彼の真剣な眼差しが揺れる。目の端から一筋の涙が伝い、耳へと流れ落ちる。

「……好きっ、ア…、んっ! 好きだよ…っ…愛してる…」

 檜の手があたしの頭を抱き抱え、またキスをされた。互いの舌を絡ませ、食べられるようなキスは離れる時に糸を引いた。

「ハァ…ーー、俺も。好きだよ…愛してる…っ」

 ーー嬉しいっ。

 ポロポロと涙を零しながら、あたしは彼を見つめて無理やり口角を上げた。

それに釣られて檜も微笑み、両頬の笑くぼにそっと口付けをしてくれる。