ボーダーライン。Neo【下】


「……それはもう、幸子から聞いていますよ?」

「え?」

 ーー聞いている?

「幸子、駄目じゃない。ちゃんと秋月さんに言っておかないと」

「ごめんなさい」

 ーーえ、どういう事? 俺、怒られる心配ない、って事?

「あのね、檜。
 実家に帰って来てから……って言うより、過去を暴露するあの週刊誌が出てから。
 お母さんに檜との事は色々と話してたの。檜がまだ高校生だったあの時、あたし達がどんな想いで付き合って、どんな形で別れたか。だから……。
 流産した時の事も、檜が不安定なあたしを想って結婚しようって言ってくれた事も。全部……、話した」

「そう、なんだ?」

 ーーあ。

 なんだ。

 もう解決済みなんだ……?

「……ハハ」

 意気込んでいた分、変な脱力感で笑えてくる。

「やっぱり。自分に嘘がつけない誠実な人なんですね。記者会見を見ていて分かりましたよ?」

 母親は情を込めた瞳を細め、「良かったわね、幸子」と嬉しそうに微笑んだ。

 ***