「先生との結婚おめでとうっ。式やるなら絶対呼んでよね??」

 彼女特有のハイテンションと笑顔で、こっちまで笑ってしまう。

「ありがと。まぁ、決まったらまた連絡入れるし、有り難く招待状も送らせて貰うから。内田にもまた言っといて?」

 そう言って奈々と、今更感が半端ない握手を交わし、手を振って別れた。

 ーーなにやってるんだ、あいつは。

 相変わらず自由奔放な主婦だ。

「次の方どうぞ?」

 次に入って来たファンはキョトンとした顔で外を指差していた。

「さっきの方、お知り合いなんですか?」

「え?」

「話し方が砕けていたし、トークも弾んでたので」

 ーーやべ。声聞こえてたのか。

「あー……ハハ、まぁ、そうですね。高校ん時の同級生で、友達なんですよ」

 仕方なく率直に告げると、ファンの子は「あ、そうなんだ」と笑みをもらしていた。

 五日間、休みなく話し続けていたせいか、僕は時々変なテンションだったらしく、その後、握手会のレポで沢山の方が同じ様な感想を書いてくれていた。

 “Hinokiさんって思ってたイメージと違って、楽しい人だった”

 “あんなに喋る人だと思わなかったから、ちょっとびっくりしたけど、嬉しかった”

 “普段は仕事用の顔を作っていて、あれが素なんだなーって思ったら、前より親近感が湧いた”

 どの意見も僕に対して好意的なのだが、僕の見た目と中身が違うと言っていて、しまったなと思った。

 大人で知的なイメージを僕なりに作ってきたのに、馬鹿な所がバレてしまった。

 ーーまぁ、今後は既婚者で活動する訳だし、これも良しとするか。

 ***