向こうが切るのを確認し、僕はスマホを机上に置いた。 いつか透さんと飲んだ時。彼は笹峰さんとの事を“有り難い縁”だと言っていた。親しくしていたら、今後僕にとってきっとプラスになる、と。 彼女の後ろ盾を差し、透さんはそう言ったのだが。本当にその通りだな、と僕は彼女の真心に感謝していた。 透さんが言った意味とは全く異なるが、笹峰さんの思いやりに対しては勿体無い縁だ、と。そう思っていた。 ***