ボーダーライン。Neo【下】


『……構いません、私は』

 ーーん? 何だろう?

『でも。関係ない、なんて。言わないで下さい』

「あ、いや。ええと、そういうつもりでは」

 ーー言い方がまずかったのか。

 若干慌てるが、彼女は笑みを含んだ声で、分かってますと言った。

『それに、お礼なんて必要ないです』

「え?」

『私は。私自身のけじめのためにやっただけですから』

 ーーけじめ?

『……本当に。好きだったんですよ? 記事を読んでちゃんと伝わりましたか?』

 笹峰さんの優しい声に結んだ口を開け、ええ、と答えていた。

「笹峰さんの気持ち、凄く嬉しかったです」

『良かった。喜んで貰えて。
 先日の記者会見、拝見しました。とても感動しました』

「……え。ああ、ありがとうございます」

 一瞬キョトンとし、つい頭を下げてしまう。僅かながら緊張している自分に、苦笑が漏れた。

『大切な彼女さんとの事も、おめでとうございます。結婚式はされるんですか? 御身内だけの式ですか?」

「……あ、いや。それはまだ、これからで」

 幸子の事を話題に出され、少し気恥ずかしくなる。

「ここだけの話、実は彼女の両親への挨拶も、まだこれからなんです」

 メディアを通して、結婚を公に発表したが、肝心の許しはまだ得ていない。