ボーダーライン。Neo【下】


「実際のところ、秋に控えたライブチケットが今のところキャンセル続きなんだって?」

「え?」

「社長はそれを取り戻したいんだと思うよ? ほら、全国ツアーも控えてる事だし」

「……なるほど」

 さすがに沢山のアーティストを世に売り出してきただけあって、やる事が大胆で合理的だ。

 僕たちはその後、竹ちゃんにスケジュール調整をして貰い、再来週のファンサに備えた。

 記者会見の翌日。

 多くのマスコミを召集しての会見だったため、新聞の朝刊やスポーツ誌の一面をHinokiの名が飾り、社長が言ったように社会情勢を揺るがす変化が訪れた。

 これまで僕の熱愛に関して否定派ばかりだった世評は、見事に二分化されFAVORITEは元の人気を取り戻しつつ有った。

 インターネット上では、会見を聞き、僕の結婚を祝福するコメントも少数だが寄せられている。

 全てが向かい風だった状況が、徐々に追い風へと変わる、その確かな手応えを感じていた。

 月曜にファンサの告知をし、火曜から抽選期間が始まった。

 その週の金曜日。僕たちの活動を鼓舞するように、ある記事が出版された。

 僕の知らないところで、()()は大きく尽力してくれたらしい。

 随筆者の名前は前回と同じなのだが、つくづく幸子は親友に愛されているなと思った。