「ふ…っ、んぅ、檜にっ、会いたいよぉ…っ!」
嗚咽を漏らしながら顔を覆うと、ポンと温かい手が頭を撫でた。
「なに泣いてるの。立派じゃないの、幸子の彼!」
「……お、母さんっ」
母が指差したテレビを見ると、発表後、報道陣から順に質疑が始まっているらしく、檜は再び椅子に座っていた。
勢いを増す質疑応答が画面の中で行われている。
『……結婚は年内という事ですが、もうお日にちは決められているのでしょうか??』
『あ……、すみません。それはまだです。秋の全国ツアーも控えていますので、とりあえずはそれが済んでからだと思います』
それぞれの質問に対して真摯に答える檜に愛しさが募る。
「もう少し、あともう少しの辛抱よ? 事が収まったら家へ挨拶に来てくれる、そうでしょう? お母さん、前に電話でそう約束したわよ?」
「うん……っ」
泣きじゃくりながら、何度も何度も頷いた。
下手に行動出来ない状況だからこそ、我慢するしかない。
結婚すると公表した檜の言葉を信じて、あとは待つだけなんだ。
あたしは涙を拭い、無理やり口角を上げた。
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