ボーダーライン。Neo【下】


「ふ…っ、んぅ、檜にっ、会いたいよぉ…っ!」

 嗚咽を漏らしながら顔を覆うと、ポンと温かい手が頭を撫でた。

「なに泣いてるの。立派じゃないの、幸子の彼!」

「……お、母さんっ」

 母が指差したテレビを見ると、発表後、報道陣から順に質疑が始まっているらしく、檜は再び椅子に座っていた。

 勢いを増す質疑応答が画面の中で行われている。

『……結婚は年内という事ですが、もうお日にちは決められているのでしょうか??』

『あ……、すみません。それはまだです。秋の全国ツアーも控えていますので、とりあえずはそれが済んでからだと思います』

 それぞれの質問に対して真摯に答える檜に愛しさが募る。

「もう少し、あともう少しの辛抱よ? 事が収まったら家へ挨拶に来てくれる、そうでしょう? お母さん、前に電話でそう約束したわよ?」

「うん……っ」

 泣きじゃくりながら、何度も何度も頷いた。

 下手に行動出来ない状況だからこそ、我慢するしかない。

 結婚すると公表した檜の言葉を信じて、あとは待つだけなんだ。

 あたしは涙を拭い、無理やり口角を上げた。

 ***