ボーダーライン。Neo【下】


 ◇ ♀

 不審な手紙を受け取った日の翌日。

 嫌がらせは日曜日の朝から始まった。

 目覚めたら、複数、カラスの鳴き声がして、部屋の窓を開けた。

 庭に大量の生ゴミが投げ入れられているのを見て、一気に眠気が飛んだ。

 腐敗臭に惹き付けられて、カラスが数羽それを漁りに来ているようだった。

 自宅の敷地内だと思えぬ光景に、父と母はたじろぐが、あとあと警察に被害届けを出す事を考え、片付ける前にしっかりと写真に収めていた。

 日中、家族が居間で寛いでいると、いきなり石が飛んできてトイレの窓ガラスが割られた。

 こんな状況だからこそ、たとえ日曜日であっても家を空ける事が出来ない。

 こうした嫌がらせに邪魔が入らないようにする為、わざわざ番犬を病院送りにしたのか、と悠大は憤っていた。

 嫌がらせを受けている事は、檜には敢えて知らせないようにしていた。記者会見を前に、余計な心配を掛けたく無かったからだ。

 過剰なストレスと不安から、あたしは眠れぬ夜を過ごした。



 そして七月二十三日の月曜日。

 あたしはリビングにあるテレビの前に座っていた。

 壁に掛かった時計で時刻を確認すると、そろそろ十一時に差し掛かろうとしていた。

 平日なので、悠大と由美ちゃんは仕事で家にいないが、去年定年退職を迎えた父と専業主婦の母は、同じくソファーに座り目はテレビを見ている。