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不審な手紙を受け取った日の翌日。
嫌がらせは日曜日の朝から始まった。
目覚めたら、複数、カラスの鳴き声がして、部屋の窓を開けた。
庭に大量の生ゴミが投げ入れられているのを見て、一気に眠気が飛んだ。
腐敗臭に惹き付けられて、カラスが数羽それを漁りに来ているようだった。
自宅の敷地内だと思えぬ光景に、父と母はたじろぐが、あとあと警察に被害届けを出す事を考え、片付ける前にしっかりと写真に収めていた。
日中、家族が居間で寛いでいると、いきなり石が飛んできてトイレの窓ガラスが割られた。
こんな状況だからこそ、たとえ日曜日であっても家を空ける事が出来ない。
こうした嫌がらせに邪魔が入らないようにする為、わざわざ番犬を病院送りにしたのか、と悠大は憤っていた。
嫌がらせを受けている事は、檜には敢えて知らせないようにしていた。記者会見を前に、余計な心配を掛けたく無かったからだ。
過剰なストレスと不安から、あたしは眠れぬ夜を過ごした。
そして七月二十三日の月曜日。
あたしはリビングにあるテレビの前に座っていた。
壁に掛かった時計で時刻を確認すると、そろそろ十一時に差し掛かろうとしていた。
平日なので、悠大と由美ちゃんは仕事で家にいないが、去年定年退職を迎えた父と専業主婦の母は、同じくソファーに座り目はテレビを見ている。



