ボーダーライン。Neo【下】


 ◇ ♂

『え? 記者会見?』

 電話の向こうで幸子の驚く顔が目に浮かぶ。

 夜の十時を過ぎ、幸子から電話が掛かってきた。いつもの挨拶に返事をし、早速用件を切り出した。

「そう。来週の月曜、十一時から。もうマスコミには発表済みだから生放送でやると思う」

 幸子は驚いたせいか無言だった。

 ーーあ。

「ごめん、二人の事なのに……勝手に決めちゃって」

『う、ううん! それは全然っ! てか、記者会見でなに言うつもり?』

「……結婚する事を公表する」

 幸子は、え、と声を詰まらせた。

『そ、それじゃあ。事務所の社長さんには……?』

「うん。ちゃんと許して貰ったよ?」

『本当に?』

「うん」

『……そっか、良かったぁ』

 彼女の安心しきった声を聞き、自然と顔が綻んだ。

「ーーあ。あとそれと。結婚報告の他に謝罪もしようと思ってる」

「謝罪? 謝罪って……誰に??」

 出来ればカサイと会った事は黙っておきたかった。しかし、月曜の会見を思うと先に言っておかなければいけない。

「あのさ。幸子の元婚約者、カサイって人だっけ?」

『……えっ??』

 幸子は予想外だったせいか、頓狂な声を上げた。