ボーダーライン。Neo【下】


 唸るように呟いた弟に、母は暗い声で応えた。

「少し前から掛かってくるようになった無言電話。アレが始まりなのよ」

「……酷い事をする奴がいる」

 家族の会話から、嫌がらせが誰の仕業なのかを理解した。

 ーー檜のファンの子だ。

 昨日の電話の件から、薄々こうなるんじゃないかって気付いていた。気付いていて、否定してた。

 家族の暗い声に耳を傾けながら、あたしは胃の痛くなる思いがした。

 ーーあたしのせいだ。あたしが実家(ここ)にいるから、タロウだって…っ。

 身の置き所のないあたしが、家族に迷惑を掛けている。

 度々掛かってくる無言電話が影響し、母は受話器を取る事に対して過敏になってしまったし、飼い犬のタロウが無事退院して帰って来ても、以前のように庭に出しておく事は出来ないかもしれない。

 嫌がらせの容疑者が多数いるなか、どうやってこの状況を打開したら良いか、今はまだ検討もつかなかった。

 部屋に戻ってから、スマホの不在着信に気が付いた。

 檜からの電話なので折り返し電話をする。

「……え?」

 あたしは彼の話す用件に目を瞬いた。

 ***