唸るように呟いた弟に、母は暗い声で応えた。
「少し前から掛かってくるようになった無言電話。アレが始まりなのよ」
「……酷い事をする奴がいる」
家族の会話から、嫌がらせが誰の仕業なのかを理解した。
ーー檜のファンの子だ。
昨日の電話の件から、薄々こうなるんじゃないかって気付いていた。気付いていて、否定してた。
家族の暗い声に耳を傾けながら、あたしは胃の痛くなる思いがした。
ーーあたしのせいだ。あたしが実家にいるから、タロウだって…っ。
身の置き所のないあたしが、家族に迷惑を掛けている。
度々掛かってくる無言電話が影響し、母は受話器を取る事に対して過敏になってしまったし、飼い犬のタロウが無事退院して帰って来ても、以前のように庭に出しておく事は出来ないかもしれない。
嫌がらせの容疑者が多数いるなか、どうやってこの状況を打開したら良いか、今はまだ検討もつかなかった。
部屋に戻ってから、スマホの不在着信に気が付いた。
檜からの電話なので折り返し電話をする。
「……え?」
あたしは彼の話す用件に目を瞬いた。
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