ボーダーライン。Neo【下】


 疑問は有るものの、手紙を開ければ分かる事と思った。

「ーーあ! ちょっと!! 先に食べないでって言ってるでしょ!??」

 悠大が箸を手にアナゴの天ぷらを頬張っていた。

「いーひゃん、ひょっほふらい」

 言いながら、悠大はタンマと言いたげに右手の平を突き出してくる。

 ーーなによ?

 あたしは冷ややかな目で、弟が飲み込むのを待った。

「それに天ぷらは揚げたてのがウマいし、俺と由美が帰って来る頃には多分ふにゃふにゃに」

「心配しなくても、あんた達の分は後でまた揚げるわよ」

 ーーったく。子供かっつーの。

 ため息をついて再び手紙を見ると、ガラガラと玄関の開く音がした。

 父と母の喋り声が聞こえる。

「あ、ほら。お父さんとお母さんも帰って来たし、あんたは早く由美ちゃん迎えに……っ」

 ーーえ、なに??

 右手の親指に激痛が走った。

「……いたっ、」

 小さな悲鳴を上げ、慌ててシンクに向き直る。

 ーーヤバい、これ。切れてる。

「姉ちゃん?」

 悠大は一瞬、キョトンとし、あたしの手元を見た。

「え!? なに?? 何で?? 手ぇ切ったの!?」