程なくして、心配を露わにした母と目が合う。
「……昨日の晩から無言電話がひっきりなしに掛かってきてて」
「え?」
ドキン、と小さく鼓動が揺れた。
「テレビの報道と、関係ないといいんだけど」
そう言って母は目を伏せる。
ーー……RRRRR.
突然、電話が鳴り響き、あたしはビクッと肩を震わせた。
ーーRRRRR.RRRRR……
三段ボックスの上にある子機と連動して、玄関口に置かれた親機も鳴り響いている。
母が眉をひそめただけで、取りに行こうとしないので、あたしが立ち上がり、子機を手にした。
「幸子っ!! もういいわ! 出なくていいからっ!」
受話器のディスプレイは公衆電話となっていた。
これは見ず知らずの人の電話なのだろうか?
ーーあたしの情報が漏れて、イタズラ電話……なんて考えたくは無いけど。
母が止めるのも聞かず、あたしは今ある不安材料を吹き飛ばしたくて恐る恐る回線を繋いだ。
「も、もしもし?」
『……』
出てすぐに息を潜める気配がした。
「もしもし? どちら様ですか?」
『……』
「間違い電話、ですか?」
『……』
子機を握り締めるそばで、母が不安そうにあたしの様子を窺っている。



