「よし!花火早速始めよう!」

スイカを食べ終えると、夏未は明るく笑ってすぐに花火の準備を始める。大きな花火セットを取り出し、その一本に火をつけた。

「うわぁ〜、綺麗!」

結菜と夏未は同時にそう言い、笑ってしまう。どれだけ悲しみが心にあっても美しいものは美しいのだ。

「ほら、結菜ちゃんもやろう!」

夏未がそう言い、結菜も「うん」と頷いて一本に火をつける。手元に鮮やかな緑色の花が咲いた。

数秒ほどしか咲かない花を、結菜はしっかり目で焼き付けていく。夏未と笑い合う最後の夏だ。夏未の笑顔もジッと見つめていた。

「……いっぱい今年、遊んだよね」

夏未がそう言い、結菜も夏のことを振り返る。春に父親から引っ越すことを言われ、夏未に泣きながらそのことを話して、今までよりたくさん遊んだ。遊びすぎて発作を起こしかけてしまうほど、たくさん笑って遊んだ。

「川で釣りをして、水遊びもしたね」

「うん。大きな魚が釣れて家に持って帰ったよね。とってもおいしかった」