六時を過ぎると夕ご飯を食べにファミレスに来る人もそこそこ増える。次郎は大急ぎでテーブルを片付け、「このお席にどうぞ〜」と笑顔でお客さんに対応していた。

「えっ……。どうしよう……」

「ヤッベ!俺、英語喋れねえんだけど」

オーダーを聞き終えた後、他の従業員が困ったように入ってきたお客さんを見つめている。何だろう、と次郎が入ってきたお客さんを見ると、背の高い外国人の家族が立っていた。

奥さんは身長が女性にしては高いが、美人でまだ声をかけることはできるだろう。まだ小学校低学年ほどの息子もニコニコしている。しかし、旦那さんはゾンビの絵がプリントされたシャツを着ていて、筋肉がしっかりついていて、サングラスをかけていて、まるで軍人がマフィアの幹部のようなオーラを漂わせている。

「あっ!次郎、この人たちの接客頼むわ」

従業員はそう言い、次郎に接客を押し付けて逃げて行った。次郎は「おいおい……」と言ってしまう。しかし、頼まれたからにはやるしかない。