太陽の光よりも、日陰の方が多い森。


歩いていると、さっきからガサガサと草が揺れて、何かが私達を追って来ているような気がします。


「マスター、気のせいですかね? 物凄く視線を感じるんですけど」


少し怖くなって尋ねますが、マスターは慣れた様子で先に進みます。


「ああ、俺から離れるなよ? 離れた途端、小鬼達に襲われるぞ」













気のせいじゃなかったです!


しかも、めっちゃ危険じゃないですか!


「は、早く言ってくださいよ! そんな危険な場所に、本当に取引相手がいるんですか?」


マスターを疑っているわけじゃありませんけど、こんな森の中にそんな人がいるとは思えません。


「まあ、付いて来ればわかる。これも道具屋の仕事の一つだからな。魔王のやつを呼ばなかったのは、あいつなら教えなくても簡単にこなせるからだ」


むっ! それは聞き捨てなりませんね。


魔王はまだ、道具屋歴の浅いひよっこです!


それなのに、私よりも出来るとか信じられないですよ!


これは、私もしっかりと仕事をこなして、魔王よりも評価を上げないといけません!


そう決意をして、私はマスターの後に付いて、先を急ぎました。