魔王に店番を任せて、私とマスターは道を歩いていました。


村を出て、向かっているのは……森?


こんな所に人が住んでいるのでしょうか?


「マスター、この先は森ですよ? こんな所に来て、誰に道具を売るんですか? あ、エルフの方ですかね?」






【エルフに出会った】
深い森で、私は人間とは少し容姿が異なる種族、エルフと出会った。
人間と大きく異なるのは、そのとがった耳と、寿命の長さであろう。
そして何より、彼らは美しい。
男も女も、飛び抜けて美しいのだ。
まさに天国だと、エルフの村に住みたいと頼み込んだが……私は美しくないと言われ、断られてしまった。
この屈辱、忘れない。
(伝説の冒険家クロ・ワッサンの手記「世界が俺を呼んでいる!」より抜粋)






「いや、エルフじゃない。なんと言うか、もう少し醜くて厄介なやつらなんだがな」


デリケートな相手だって言ってましたからね。


ハッキリしませんね、このハゲは!


私にはその相手がどんな人なのか、想像もつきません。


踏みならされた道も、徐々に草が多くなり始め、森の中へと私達を誘います。


小さい頃からマスターに言われていた、危険だから行ってはダメな森。


そこに、私はついに足を踏み入れたのです。