いくら相手が魔王でも、お代を払ってもらえないのは困るから、とりあえず私の家兼アルバイト先の道具屋に連れて行く事に。


弱った魔王を、屈強な戦士に殺されでもしたら、それこそ回復薬の無駄使いになってしまいますから。


「いいですか、魔王さん。お金がないなら働いて返す。それがこの世界の常識です」


「娘よ、魔王に働けとは、なかなかキモが座っとるのう。しかし、それが望みならば叶えてやろう!」


大笑いして私の後に付いて来ているけど、お金を払うのは当たり前の事ですよね?


問題は、道具屋のマスターが何と言うかなんですが。


魔王を連れてお店に戻った私は、ドアを開けて店内に。


「ただいまー。マスター、新しいアルバイトさんを連れて来ましたー!」


奥の部屋にこもっているのか、お店の方には誰もいません。


「なんと……薄汚い小屋よ。これが店と呼べるのか? まあ、いかにも人間らしい住まいだな、ふはははは!」


良く笑う魔王です。


きっと、人生が楽しいに違いありません。






「ぬ? アルバイトだと? 一体何の話だ、未来」






店の奥から、そんな事を呟きながら、マスターが現れました。