普通の村人なら、これで大抵のことは許してもらえるのに!


まあ、紫の肌に、眉間から角が生えた、ブーメランパンツにマントなんて変質者は普通ではありませんよね。


普通を求めた私がバカでした。


「じゃあ……回復薬35本で350G(ガバメント)になるです!」


そう言って手を出すと、魔王は笑うのを止めて私の顔を見ました。


「そ、そんなもので良いのか? ふはははははっ! 欲のないやつよ! それくらいいくらでも払ってやるわ! 安い、安いのう!」


再び笑いながらそう言うと、魔王はブーメランパンツの中に手を突っ込んで、モゾモゾとまさぐり始めました。


いたいけな少女の前で、なんて卑猥なことをしようとしているのでしょうか!


でも、魔王の顔がどんどん引きつって行くのがわかります。


「どうしたんですか? 早く350Gを払ってください! びた一文負けるつもりはありませんよっ!」


こちとら商売でやってるんです。


ボランティアで助けたわけじゃありませんからね!


「さ、財布……落としちゃったみたい」


ブーメランパンツに手を突っ込んだ状態で、今にも泣きそうな顔で私を見ます。


まあ、そんなことだろうと思いましたよ。


だけど、タダで回復薬を35本も飲んで、さようならはないですからね。


そんな子犬のような目で見詰めても無駄です。