そんな想いを抱きながら

 今、私は
 言霊神社に続く
 100段の階段を登っている。



 いつもより歩みがノロくて。
 なかなか神社にたどり着かない。



 私、会いたくないんだろうな。
 春輝くんに。


 夢だってわかっていたはずの幸せが
 本当に消えちゃうのが、怖いから。


 

 石段を登りきると
 春輝くんはベンチに座っていた。



 私に気づいて
 微笑んでくれたけど。

 ひきつった笑顔が、痛々しい。



 私はいつも通りでいなきゃ。


 これで春輝くんと
 バイバイなんだもん。


 笑顔。笑顔。