私は、固まってしまった。


 だってマトイ君が
 凛とした姿で
 私に頭を下げているから。


「あ……頭……
 上げてよ……」


「お前が約束するまで
 頭上げねえ」


「わ……わかったから……
 明日の朝も……
 ここに来るから……」



 私の言葉に
 顔を上げたマトイ君。



「俺様に
 頭下げさせんなよな」


 悪めいた笑顔でそうつぶやくと。


 「風邪ひくなよ」


 そう言い残して
 大雨の中、去って行った