「雨強いから。
 これ着て帰れよ!」



 私に掛けてくれたものって……

 マトイ君が着ていたカッパ?



「いらないよ……
 マトイ君が帰る時に濡れちゃうから」


「俺様の優しさを跳ねのけるとか
 贅沢だってわかってんの?」


「でも……」


「明日の朝、春に渡せよ。
 そのカッパ」


「私……もうここには……」

 
「あ~!! もう!!
 俺はな、ヒーローショーなんて
 やりたくなかったんだからな!!」


「ごめん……なさい……」


「俺、忙しすぎんの、毎日が。
 わかる?」


「高校に行きながら……
 アイドルをしているから?」


「それだけじゃねえし。
 他にも覚えなきゃいけねーこと、
 山ほどあるし。
 お前らの遊びに付き合ってる暇なんて
 一秒もねえの!」



「すみませんでした……」


「それなのに
 なんで怪人役を引き受けたか
 わかるか?」