「ウサギは良いわけ?」


「え?」


「お前の夢、叶わねえぞ」


「いいの。本当は違うから」


「は?」


「私、ヒーローショーに
 出たかったわけじゃないから」


「なんだよ、それ。
 俺まで巻き込んだくせに」


「ヒーローみたいに
 自分を犠牲にできる人になりたいのは
 学校にいる時の……私だから……」


「……」


「だから、春輝くんに伝えて。
 ヒーローショーは、もういいよって」


「自分で伝えろよ」


「それは……ムリかな……」


「なんでだよ!!」



 それは……


 心の奥で怯えている
 もう一人の私が、
 必死に訴えているから。



 これ以上
 春輝くんに会ったらダメだって。