やっぱり言っちゃったんだ。

 『春輝くんにドキドキしちゃう』
 なんて。



 な……な……
 なんとかごまかさなきゃ。



「回し蹴りをかっこよく決めちゃう
 春輝先生を見たら、
 女の子はみんな
 ドキドキしちゃうに決まってるよ」


「ほんと?」


「本当だよ」


「アクションしていれば、
 僕もかっこいいって思ってもらえるかな?」


「うん。うん。
 モテモテ間違いなしだね」



 何、私の変なテンション。


 告白ともとれる私の心の声を
 ごまかせているのか、わからない。



「みゅうみゅう
 ちょっと休憩しよう」



 春輝くんは瞳を陰らせながら
 ベンチに腰を下ろした。


 慌てて私も
 ベンチの端っこに座る。



 春輝くんはうつむいたまま
 何もしゃべらない。


 お互いの間に
 無言の重苦しい空気がまとわりついている。



 先に言葉を発したのは
 春輝くんだった。