「春輝くんは……
 モンブランが……大好きなの?」



 落ち着かない自分の心臓に手を当て
 なんとか言葉にしてみたけど。



「うん。大好き」



 幼稚園児みたいな素直な返事に
 私の心臓は過労死寸前。



 私にとって……ツボすぎる……

 春輝くんの……何もかもが……


 
「みゅうみゅうが
 モンブランの中に逃げ込んだら、
 僕がパクパク食べながら
 助けに行ってげるね」



 意味不明にも聞こえる
 春輝くんの発言。



 出会って24時間くらいしか
 たっていないのに。

 すでに、私の脳内は
 春輝くんワールドを堪能できるように
 書き変えられてしまったらしい。



 ――助けに行ってあげるね。



 最後のフレーズが
 なぜか嬉しくて。

 でも、恥ずかしすぎて。


 ごちゃ混ぜな気持ちを誤魔化すように
 私は春輝くんから視線を外し
 また顔を横に向けた。


 朝日に照らされて
 穏やかに煌めく木々を見つめ、
 なんとか心を落ち着かせる。