膝の上に置いた
 手のひらを見つめていると、
 急に、私の両手がさらわれた。



 ん? 
 この強引な感じ……何? 



 脳がこの状況を読み込めなくて、
 視線を上げる。


 すると……


 春輝くんが私の両手を包み込んで
 上下にぶんぶん振り回している。



「春輝……くん?」


「すっごくいい!」


「え?」


「みゅうみゅうの書いてくれた台本、
 めちゃくちゃ面白いよ!」


「あ……ありがとう……」



「僕の役、世界中の女の子の心を
 わしづかみにしちゃうくらい
 カッコいいし」



 ひゃ~!!
 褒めてもらえた!!


 嬉しい。
 嬉しすぎるけど……



 今すぐ
 私の両手を解放してください!!!



 もう限界なの。
 私の心臓。



 朝一から、春輝くんに
 ドキドキせられっぱなしで……


 この場で破裂してもおかしくないくらい。

 バコンバコンって
 肌にぶつかっているの。