柔らかく目じりが下がった
春輝くんの笑顔。
穏やかで。優し気で。
マー君が大事な存在だって
その顔が訴えている。
春輝くんの落ち着いた表情も。
好きだなぁ。私。
瞳が春輝くんを堪能していると
脳があることを思い出してくれた。
「そういえば、忘れないうちに」
私はななめ掛けバックを
ガサゴソとあさり、
さっき印刷したばかりの紙の束を
春輝くんに手渡す。
「これって
ヒーローショーの台本?」
「うん」
「みゅうみゅう、もう書いてくれたの?
読んでいい?」
「いいよ」
二人でベンチに座ると
春輝くんは台本に目を落とした。
真剣な表情の春輝くんに
またドキリと心臓がうずく。
ダメダメ。
春輝くんを見ちゃダメ。
どんどん私の体が火照っていって。
茹でダコ宇宙人と間違われるくらいに
全身が真っ赤になっちゃうから。



