早く顔の熱を下げなきゃと、
 手のひらをうちわ代わりにして
 扇いでいると。


「僕……
 ステージに戻らなきゃ……」


 沈んだ春輝くんの声が
 私の耳に届いた。



 そうだった!
 今、ヒーローショーの途中だったんだ!


 本番中に
 主役を独り占めしている、この状況。


 罰が当たりそうなほど
 贅沢すぎだよね?



「春輝くん、頑張って来てね」



 とびきりの笑顔の私とは真逆で、
 春輝くんはまだ、浮かない表情。