☆美羽side☆

 夢…… だったのかな……


 私の脳が都合よく映し出した
 幻想だったのかな?



 自動販売機横での
 春輝くんとの出来事が。

 まるごと全部。




 頭の中が整理できないまま

 私はまた、ステージから一番遠い
 イチョウの木の下に戻ってきた。



 ステージ広場を埋め尽くすファンの、
 悶えながら見つめる視線の先には。

 ステージに立つ、
 白いタキシードに、ピンク、青、紫、
 それぞれのカラーのマントを
 なびかせた3人が。



 そこに
 春輝くんの姿はない。