☆美羽side☆


 アミュレットのヒーローショーなんて、
 見に来てよかったのかな……



 見事なほど黄金に色づいた
 イチョウの木の下で。

 私は今、帰ろうか迷い続けている。



 ステージ前の広場を埋め尽くすファンの
 キラキラした瞳とは対照的に、
 私の瞳は、泥水のように濁っている。



 春輝くんのこと、諦めようと思ったのに……

 ラジオで、あんなこと言うんだもん。



 『僕が好きな女の子は……
  魔法の国から来た、ウサギちゃん』


 『プラス、ヒーローみたいに
  カッコいい子が好き』


 
 私のことじゃないって、わかっているよ。

 まだ、明梨んが好きってことも
 わかっている。

 諦めなきゃいけないことも
 ちゃんとわかっている。



 でも……



 ウサギとかヒーローとか
 私が春輝くんに、言われた言葉だったから。


 心がざわついて。
 止められない。