「僕のこと、知ってる?」


「え……と……」


「なんでもないよ。
 僕は春輝(はるき)。高3」


「私も……高3」


「え? 
 みゅうみゅうの高校って、どこ?」


「常盤高校」


「そっか。やっぱり違うんだね。
 僕は桜木高だから」



 違ってよかったぁ。


 もし同じ高校だったら、バレちゃうもん。


 クラスでの私は
 ボッチで、陰キャラだって。

 友達なんて
 隣のクラスに1人だけしかいないって。


 安堵のため息と
 現実の自分にがっかりのため息が混ざって
 私の口から漏れる。


 そんな曖昧なため息を浄化するように
 春輝くんの優しい声が耳に届いた。



「みゅうみゅうは
 何をお願いしに来たの?」


「ん?」


「こんな朝早くに、言霊神社に来るなんて。
 よっぽどの事を
 お願いしに来たんじゃないの?」



 ひょえぇぇぇ。


 私のお願い事を知りたいってこと?


 どうしよう。
 恥ずかしすぎて言えないよ。


 言ったら、ドン引き確実だし。

 頭大丈夫?って
 精神科の病院を紹介されちゃいそうだよ。