「あ、これ、美羽ちゃんに。
忘れないうちに渡しておくわね」
蓮見さんはそう言って
見覚えのある紙を差し出してきた。
「これって……」
「恋のお守り戦隊アミュレンジャーショーの
入場チケット。
当日は、チケットがないと入れないから」
「その日は……」
「遊園地のヒーローショーを
見に行くんでしょ?」
「……はい」
「でも、午前中に遊園地に行って、
午後にアミュレットのショーを
見に来ればいいじゃない?」
「そうですけど……」
「見てあげて欲しいの。美羽ちゃんに。
春輝にとって、初めてのセンターだから」
優しいお姉さんのような微笑みを
私に向けると、
青信号に気づき
蓮見さんはアクセルを踏んだ。
ハンドルを握る蓮見さんの
横顔に向かって、
私は、心の中にある疑問を吐き出す。



