「あの……
どこに行くんですか?」
「ラジオ局」
え? なぜ?
「あ……あの……
本当に私に、用事があるんですか?」
「そうよ。
だってあなた、美羽ちゃんでしょ?」
そう。名前は合っている。
でも、美羽ちがいって可能性も。
「なんで……ラジオ局なんですか?」
「ラジオに出るから」
「え? 私が? ラジオに?」
「違う。違う。
今のって、素?
美羽ちゃんって、本当に面白いのね」
アハハと
車の中に響く笑い声まで、艶っぽくて。
大きめなウエーブの髪を、耳に掛ける仕草に、
また見惚れてしまった。
って、ダメでしょ。
見とれている場合じゃないでしょ。
誘拐モドキの理由を
ちゃんと聞かなきゃ!!



