「あなたが美羽ちゃん?」



 そ……そうですけど……

 できれば私の隣に
 来ないでください。



 洗練された大人の色気に
 私まで惑わされそうなので。




「時間ある?」



 え? 



「一緒に、来て欲しいところがあるの」



 これは……
 新手の誘拐ですか?
 
 私をどこに連れて行くつもりですか?

 しかもあなたは、誰ですか?



 聞きたいことだらけで
 何から質問していいかわからない。


 
 どうしよう、どうしようと
 脳がこんがらがっている間に、
 絶世の美女に腕を組まれ、連行された。



 バタン。


 ひょえ!


 私、目が覚めるほどの
 真っ赤な車に、乗せられちゃったし。

 車が走り出しちゃったし。



 助手席に乗った私の隣には、
 見惚れてしまうほど綺麗な美女がいて。
 
 ハンドルを握っている横顔は
 女神にしか見えない。



 この人、20代半ばくらいかな?