90%信じていない状態で、
 男が群がっている学校の門を
 恐る恐る通り過ぎる。



 ほら、やっぱり。
 何も起こらなかった。



 10%の不安を脱ぎ捨てるように
 青空に向かって伸びをしたその時


「前園 美羽だ!」


 男の子の声が耳に届いて、振り向くと、
 数えきれないほどのイカツい視線が
 一斉に私に突き刺さっていた。



 この状態は……
 な……なんですか?



 私……
 大量の男の子たちに
 ガン見されるようなこと……
 しましたか?



 両肩に手を置いても
 震えは止まってなんかくれなくて。

 原因不明の恐怖で
 冷汗が背中を伝う。



 その時

 コツコツと地面を鳴らすヒールの音と共に
 見知らぬ美女が、私に笑いかけてきた。