「本当は俺……
 美羽と二人だけで
 観覧車に乗りたいけどさ……」



 けど、なに?


 
「やっぱり
 リリが一緒じゃないと、困るな」



 ん?



「美羽と二人で
 観覧車なんか乗っちゃったらさ。
 もっとお前のこと、好きになりそうだから」



 
 ひょえぇぇぇぇ!!

 本当に、勘弁してください。



 私、そんな甘い言葉に
 縁のない生活を送ってきたから。

 免疫が、なさ過ぎて。

 ドキドキしちゃうし。
 波多野くんに逃げたくなっちゃう。



 だって……
 春輝くんのことを思い続けていても
 私なんか選んでくれないって、分かっていて。

 その現実が、辛くて。辛くて。
 誰かに甘えたくなっちゃうから。



 弱い自分に負けそうになった。

 もう、
 春輝くんのことは諦めようって、
 思ってしまった。



 その時、
 情けない私を戒めるように
 予鈴が鳴り響いた。